君たちはどう備えるか ー今年も日本各地で自然災害が相次ぐー
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🔶 頻発する異常気象、問われる“私たちの備え”
今年も日本各地で大雨や台風などの自然災害が相次ぎました。熊本でも8月、そしてわずか1か月後の9月に再び大雨が発生し、各地で被害が報告されました。
「もはや“ここでは起きない”という考えは通じません。私たちは自然の恵みと同時に、猛威にも向き合わなければならない時代に生きています」と語るのは、ライブ配信ディレクターの斉場俊之さんです。
🔶 “情報難民”になった朝――突然の落雷被害
斉場さんが特に印象的だったと語るのが、9月10日の朝。熊本に線状降水帯が発生し、夜明け前から雷と豪雨に見舞われました。
「朝、テレビをつけていたら突然映らなくなったんです。停電ではなく、ケーブルテレビの機器が落雷で壊れてしまっていました。照明も点くし電気も通っているのに、情報だけが途絶えてしまった。まさに“情報難民”状態でした」
テレビが見られなくなり、地域の最新情報を得られない不安の中、斉場さんが頼ったのはラジオでした。
「こういうときこそ、地元局の放送が命綱になります。RKKラジオでは、通常番組を変更して気象情報を伝えてくれた。そこでようやく“雨はまだ続く、雷も収まらない”という現状を知ることができました」
しかし、この経験から痛感したのは「放送局から『危険です』と伝えられたときには、すでに自分の地域は危険な状態にある」という現実でした。
🔶 “危険情報”が出る頃には、すでに危険は始まっている
災害が発生するスピードが年々早まっています。
「近年は、雨が降り始めてから短時間で被害が出るケースが多くなりました。『備える間もなく水が来た』という声をよく耳にします。じわじわと増水するのではなく、短時間で一気に状況が変わる。これが今の災害の特徴です」
そのため、斉場さんは「放送が通常編成のうちに動くことが命を守る第一歩」と強調します。
「テレビやラジオが『危ないです』と言い始めた時点では、もう逃げ遅れている可能性がある。だからこそ、番組が普通に進行しているうちに、私たちは準備を始めなければいけません」
🔶 “君たちはどう備えるか”――3つのヒント
斉場さんは、自身の経験をもとに“命を守るための3つの備え”を挙げました。
1️⃣ 複数の情報入手手段を持つこと
「テレビが壊れても、ラジオがあれば助かる。スマートフォンが充電切れでも、乾電池式ラジオがあれば情報は得られます。携帯の充電をこまめに行うことも大切です」
2️⃣ 小さな変化に“早めに気づく”こと
「気象情報のコーナーで“少し注意が必要”と伝えられた時点で、自分事として捉えること。『どうせ大したことはない』と流すのではなく、最悪の可能性も考えておく。普段から天気予報やニュースを“ながら聞き”しておくことが大切です」
3️⃣ 安心ではなく“不安”を探すこと
「人はどうしても“安心したい”と思ってしまいますが、災害時は逆です。『この台風は九州の西を通るから大丈夫』ではなく、『もし進路が変わったら?』と不安要素のほうを意識して行動する。それが命を守る備えにつながります」
🔶 “最悪を想定する勇気”が命を守る
「安心を探す行動は、人間として自然なことです。でも、災害の前では“最悪のシナリオ”を想定して動く勇気が必要です」と斉場さんは語ります。
「いつ起こるかわからないからこそ、今から備えておく。行動を1時間、いや10分でも早くすることで、助かる命があると思っています」
まとめ
大雨、地震、台風――いつどこで災害が起きてもおかしくない時代。
情報を受け身で待つのではなく、自ら取りにいくこと。
そして「安心ではなく不安を探す」という意識の転換こそが、これからの私たちに求められている備え方です。
「君たちはどう備えるか」
その問いは、決して他人事ではありません。
🗣️ お話:ライブ配信ディレクター 斉場俊之さん
🎙️ 聞き手:江上浩子(RKK)